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ж 「変身……めんどうではないか?リコレッタ」 「いいのです。マオ様。偶にはこうして人型になっておかないと形のとり方を忘れてしまうんですよ。それに今回はバンパイアなどとマオ様に何かあっては困りますからね。私がしっかりとガードを勤めさせて頂きます」 「……へぇ。リコレッタちゃんって変身出来たんですね」 「リコレッタ”ちゃん”!?……ルシア。 私はマオ様だけに仕えてるんだから他の者なんぞにしっぽはふらぬぞ」 フンと一気に機嫌の悪くなったリコレッタを気にすることなくルシアは可愛いを先ほどから連発している。 それは大きな街中に行けばさぞやナンパの声が掛かりまくるだろう、とても華やかなパーティだ。 光輝く銀の髪をもち、聖なる光を与えんと優しげできさくな雰囲気を感じさせる明るい容貌のルシア。 人間の5歳児程の容姿に蒼い髪に瞳、幼い容貌好きにはたまらない甘ったるい雰囲気を持つリコレッタ。 黒い髪にくっきりとした紅の瞳、近寄りがたい高貴な花を思わせる、魔性の女の雰囲気を持つマオ。 それぞれ、個性は違っているが文字通り誰もが憧れる美少女達だ。 「ところで東の森とはコチラであっているのか?」 「ええっ。全く自信なくて歩いてきたんですか?魔王様」 「大丈夫ですよ。マオ様。このリコレッタがちゃんと方位磁石とともに確認をしておりましたからばっちりこの方角で間違いないです」 「さすが、リコ”ちゃん”」 わぁっと感激するルシアに対し、マオは当然だといった表情でうなずいた。 「……もう突っ込む気力もないですが、せめてちゃんはやめてください。ルシア」 リコレッタは大層疲れたようにルシアに対してお願いをした。 「えーせっかくかわいいのに」 「かわいくても……です!」 「いいじゃないか、呼び方ぐらいどうだって」 どうでもよさげに言うマオだったが。 「マオ様だって。こないだマオさんってキーリに呼ばれて嫌がってたくせに」 「そうだったか? ……よく覚えてるな。リコ」 すっかり忘れておったとマオは苦い笑みを漏らした。 「とにかく、私を呼ぶときはリコ。又はリコレッタと呼んで下さい」 「仕方が無いわね。リコちゃん」 全然直ってない様子にリコレッタは悲しんだ。 もうルシアの思うようにさせよるしかないのか?とリコレッタはもういいですとプイとそっぽを向いてしまった。 「どうでもいいが、まだ着かないのか?そろそろ飽きてきたぞ」 「そうですわね。東の森に入ってもう随分経ちますけれど……」 「マオ様、ルシア。二人とも、早く歩かないからじゃないですか?」 そういって跳ねるリコレッタは幼い容姿にも関わらず、歩調はサクサクと大分早い。 「……竜族と違って我々は翼がない分、疲れやすいんだ。リコレッタは今翼がない分、歩いて消費しようとしているのかもしれないが……」 「そうね。リコちゃん。私達、そこまで早く進めないし」 「二人とも、面倒な生き物ですね」 はぁっとため息をつかれて二人はもちろん楽しくなどない。 「リコレッタ。悪かったな面倒な生き物で?……ただ食べることに関しては我は誰にも負けるつもりはないぞ?」 ニヤリと黒く笑うマオにリコレッタは失言にやっと気がついて謝り倒した。 そうこうしているうちにやがて古ぼけた洋館らしきものが見え、マオ達一行はようやく目的地に辿りついたのであった。 「狭いな。馬小屋か?」 ポツリとマオは一言館を見るなりつぶやいた。 「豚小屋かもしれませんよ?そしたら一匹焼いて食事にしましょう」 リコレッタもそれに乗り楽しそうに返答する。 「二人とも、いくらお城暮らしだからって常識なさすぎよ。 この館は十分大きいじゃない。玄関は並みでも奥が広いのよ。きっと。 ざっと見回しても私の部屋の1000倍はあるわよ?」 ルシアのその一言に憐れそうな目線で二人は言葉を発した女を眺めた。 「何よ?」 「いや、なんでもないぞ」 「ええ、なんでもないです」 二人はルシアをさらっと交わすと館のドアをノックした。 「はいはいはい」 中からは何故か陽気な声が返ってきた。 てっきり怖そうなバンパイアが来るのかと思っていたマオ達は一瞬、面喰らった。 そして、その声の主によって扉は開けられた。 「あ。マオじゃないか。おひさしぶ!!」 声が途中で途切れたのはマオが思いっきり扉を閉めたからだ。 ゴンと硬いものが当る音がしていたがマオはそれどころじゃなかった。 な、何故にキーリがこんなところに……マオは強く動揺していた。 そして強引に扉は再び中から開かれた。 キーリはマオの瞳と目があうとにっこりと笑いかける。 マオは逆にこれでもかというぐらい邪悪な顔つきだが。 「ひさびさだね。マオ。俺物凄く会いたかったよ」 「私は会いたくなどなかった。どうして貴様がこの館にいる?」 口調が思わず攻撃的になってしまうのはしかたが無いのだろう。 何せ、マオはキーリを嫌っているらしい。 「頼まれちゃったからさ」 「正確には雇われたからです」 間髪いれずにそっと顔を出すのはヴァイオレットだ。 「雇われた? ハッ。勇者を目指すものも落ちたものだな。バンパイアの下につくのか?」 軽く笑いながらも軽蔑したような眼差しでマオは言う。 「バンパイアの仲間にはなるつもりはないよ。ただ、頼まれごとがあってね。マオ、君がそれで調度よかったよ?」 にっこりと笑うキーリに邪気は一切感じられない。 「それで、君がルシアさんかな?」 そのままの笑顔で問われたのは小さな人間の姿に変身したリコレッタだった。 「違います! このロリコン!! お前が言った人間はこっちです。私はブルードラゴンのリコレッタです」 マオの影に隠れていたルシアを押し出してリコレッタは高々と言った。 「人間の姿に変身できるのか? ブルードラゴンって。じゃ、ヴァイオレットも?」 「あれ? 言ってませんでしたっけ? マスター」 ごちゃごちゃと身内で話あう二人?にすっとそれまで黙っていた少女が前に進み出た。 「……私がルシアですわ」 強い光を灯した目で持ってルシアは強く頷いた。 一方、マオは黙ったまま、ポツリと聞いた。 「……? ロリコンとは何だ? リコレッタ」 「マオ様、ああ、そんなことはお知りにならなくてもよいのです。俗世間の戯言ですよ。幼女、少女にのみ性欲を感じる異常心理。つまり犯罪者という意味です。」 「そうか、キーリは犯罪者なのか」 真正面で言われて、キーリはこれでもかというぐらい焦った。 「って、マオ!! 俺はロリコンや犯罪者じゃ決してないからな」 好きな人?にそんな風に思われるのだけは絶対いやだとキーリは猛烈に反発した。 「はて。ややこしいな」 そんなキーリを知ってか知らずかマオはふーんと聞き流していた。 「あの、それで? エドワーズは貴方になんて頼んだんですか?」 再び会話の流れを戻そうとルシアは話をふった。 「ああ、なんでも二人っきりで話したいから邪魔者をひきつけておくようにって」 「そうですか。それなら、魔王様、リコレッタ。私行って来ますね。一対一で勝負つけてみせます!!」 「わかった」 ルシアは軽い足取りで正面の奥の扉に消えていった。 |